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エンジニアと転職〜後悔のないオープンな転職活動

エンジニアと転職〜後悔のないオープンな転職活動

このたび現在自分が参加しているエンジニアと人生コミュニティのメンバーの有志で、技術書典で本を執筆しました
エンジニアと人生コミュニティ合同本という本ですが、こちら現在は販売を終了してしまっているので、今回自分が執筆した3章をこちらで記載しようと思います
入院などもあり、バタバタしていましたが、自身の最近取り組んだことをまとめるいい機会だったでした
転職について困っている人たちの一助になれば幸いです

はじめに

今回この「エンジニアと人生」コミュニティとして執筆する技術書典15での書籍の一部を書くことになった時にテーマを何にしようかなと迷いました。

普段はモバイルアプリ(主にiOS)の開発をしているので、モバイル周りの技術的なことなども考えましたが、コミュニティ名が「エンジニアと人生」である以上、開発に領域を問わず、幅広い人に取って役立ちそうな内容を書く方が良いのではと思いました。

そしてちょうどこの執筆の数ヶ月前に転職をしたばかりで、しかも執筆時の現職が5社目というのもあり、同世代に人よりは多いのでは思いました。
また今回の転職は前回に転職の時の問題を考慮して、だいぶ試行錯誤しながら行いました。
その時意識していたのが、副題にもある「後悔のないオープンな転職活動」でした。
転職をする時は様々な期待や条件を希望すると思います。
特にエンジニアの場合だと、給与やリモートワークの程度、働き方の柔軟性など、より働き方にこだわりを持っている人も多いかと思います

このセクションでは私の実践例を中心に、上記のような条件をしっかり転職者と企業で相互にすり合わせ、入社後に相互に後悔の少ない仕事を切るための「後悔のないオープンな転職活動」をどのように目指すかについて書いていきたいと思います。

転職活動で大事なこと

転職活動での登場人物は2人います。
転職する側の私たち転職者と企業など採用側です。
結論として、私は自身の希望や条件、経験などをわかりやすくオープンにして、採用側に伝わりやすくし、双方が入社後に後悔しないように丁寧な擦り合わせをすることが重要だと思います。
私たち転職者の視点で興味関心があるのは、私たちの希望する条件をどこまで満たすことができるかです。
実際前回の転職の時に私が課題に感じていたのは私と採用者側の企業のギャップが大きく、入社後に自身のやりたいことと実際の業務とのミスマッチが続きました。
その時に転職時の時間をかけた丁寧なすり合わせが重要だということを強く実感しました。

ただし私たちの希望を一方的に企業側が受け入れてくれることはもちろんありません。
採用側にも採用する上での基準や希望があり、双方の希望がマッチングした場合のみ内定、そして内定受託に繋がります。
自分自身のことを棚に上げているかもしれませんが、一応面接をする側の経験を踏まえてあまり転職をしたことない人の転職相談に乗った時によく感じることが、転職しようとする人は上記のマッチングという点に関して、採用側の視点や気持ちに寄り添った方がよいということです。
例えば自分の要求ばかりを一方的に伝えている、もしくは自身の希望や情報などを採用側に明確に伝えることができていないなどです。

採用には非常に高いコストがかかります。
それは転職者への給与の支払いだけでなく、採用プロセスへのリソースにもコストがかかります。
転職者の中にはそのコストのことを意識せずに面接に参加している人が多い印象ですが、私が相談された時によく言うのは、仮にその人の給料が月50万円だったとして、「あなたがポケットマネーで月数十万円を払って、あなたと同じような方を雇いたいですか?」ということです。
実際に自分のお金を払って何かを買う場合、特にそれが高額な物の場合、例えば車や家を買うとなったら、特に慎重にその物の情報を聞き、メリットやデメリットを比較し、そして自分に合うかどうかを慎重に検討すると思います。
視点としては採用側も同様で、転職者を採用する時は慎重にその方の情報や経験、希望を聞き取り、精査します。
その視点に立って、転職者が自分の希望にあった経験や能力があり、かつそれを採用側に伝えることができているかを考える必要があります。

特に重要なのは採用側に伝えるということです。
経験や能力があることは前提条件だとして、できる限りギャップを少なくしてマッチングをするためには、その経験や能力などの情報を正確に、そして具体的に伝えることが必要です。
もちろん転職者側から採用側が合わないと判断し、辞退する場合もあるし、情報を伝えた上で内定が出ないこともありますが、それらのケースも含めて、転職プロセスでは相互に情報を伝え、その上で擦り合わせることに集中した方がいいです。
正確には私たち転職者が事前に注力できることは、その情報を伝える準備をすることです。
いかにその情報を伝えるということについて準備し、採用側が自信を持って納得して、内定を出しやすくするか、そしてそのプロセスを効率化し、その先のすり合わせを充実させ、その後のミスマッチ、後悔が双方で発生しないようにするかが肝要です。
その上で私が重要だと感じているのはその 自身の伝えるべき情報を整理し、オープンにしておくことです。
次章ではそのことについて記述します。

オープンな転職活動

オープンな転職活動というと、エンジニアの場合、GitHubの個人アカウントにPublicなリポジトリを作成したり、QiitaやZenn、個人ブログなどに投稿する、またLT会やカンファレンスでの登壇などを通して、自身の技術力を発信するということは一般的によく行われています。
しかし自身の考えや経験をよりわかりやすく、そして効率的に採用側に伝わるようにするには、技術面以外の情報、例えば経歴や経験、また自身の希望や条件、考えなども明示的にわかるようにオープンにしておくといいのではないでしょうか?

もちろん住所や連絡先、希望年収などの個人情報やクレデンシャルな情報はオープンにする必要はないですが、それ以外の情報を可能な限りにオープンにしておいた方が、採用側がスカウト・連絡する時にも、採用側が合わないと判断した場合はそもそも不用意にメッセージを送らないということもできるので、転職者側としても無駄なメッセージがくるということを多少は防ぐことができます。
またカジュアル面談や選考プロセスでその情報を事前に伝えておくことで、面談や面接の時間はその情報を前提条件として、もっと深い話、すり合わせに使うことができます。
その丁寧なすり合わせは、採用車と転職者のミスマッチを防ぎやすくなります。

事前にそのような情報をオープンにすることは他にもメリットがあります。
事前に情報を書き出すことで、自身の考えを整理し、体系化することができます。
自身の考えを整理するために面接前にメモへ書き出すということをすることもしますが、どうしても自分しか見ないものだと雑になりがちです。
そこで他の人が見るオープンな場に公開するとなると、かなり丁寧にそして、慎重に書くようになります。
そのことは結果として、より正確で具体的な情報を洗い出し、結果として採用側に伝わりやすくなることに繋がります。

実際に自分がやったこと

前回の転職での失敗を踏まえて、今回の転職で私が意識したことは、既述の通り採用側とのギャップをできる限り小さい状態でマッチングができるように、こちらの希望や経験などの情報をオープンにし、効率的にそれらを相手に伝え、それらを踏まえた擦り合わせをより丁寧に行うことができるようにすることです
このことを考慮し、今回の転職では以下のことを行いました

  1. 職務経歴書などの経歴の公開

面接の際には基本的に職務経歴書と履歴書の提出を求められると思いますが、その際に毎度個別にPDFなどのデータを送付するのは正直手間です。
ならばGitHubなどに公開してしまおうということで、私はGitHubに職務経歴書用のPublicリポジトリを作成し、そこにREADMEのファイルとそれをPDFにしたものをアップしています。
このようにすることで情報の更新があるたびに、そのリポジトリを更新すれば最新状態を更新できますし、提出を求められた際はそのリポジトリのURLを共有するだけで済みます(この方法で問題があるような企業の場合、そもそも私のには合わないような企業な気がしてます)。
またPublicリポジトリに記載することで、誰でも見ることができるので、仮にリクルートや仕事の依頼をしたい人も事前にチェックすることができます。

経験が少ない人だと職務経歴書に書くことが少なく、もしくは何を書いていいか迷い、職務経歴書の公開を躊躇する人がいるかもしれません。
しかしその状態のままでは自身の経験やスキルを成長させていくことは難しいかもしれません。
むしろ先に思い切って公開する、もしくは公開の期限を決め、登壇をしたり、自身の技術的なスキルを高める、もしくは業務や個人の勉強の中でソフトスキルを高めるなどを進め、職務経歴書に記載できる能力やスキル、経験を高める方が有意義かと思います。

  1. 面談・面接の情報共有・確認事項の公開

先ほどの職務経歴書と同じように、面談や面接の前情報として利用できるように、以下の項目の内容をまとめ、公開しました。

  1. 入社・ジョインする会社やチームの大きな基準・観点
  2. 詳細な希望条件
  3. FAQ
  4. 面談や面接での質問事項

1.は、退職もしくは転職しようとした理由や経緯も踏まえて、私がジョインしたい会社やチームを選ぶ際に、どのようなことを重要視するかをまとめました。

2.は年収以外の私が希望する、例えばフレックス制が整備されている、リモートワークができるなどの条件をMustやBetterのセクションに分けてまとめました。

3.は面接でよく聞かれるようなこと、例えば長所や短所、やりたくない業務は?などの質問の回答をまとめておきました(よく聞かれることなので、わざわざ面談や面接で時間を取らず、事前にまとめておいた方が効率的でしょう)。

4は逆に私が面談や面接で聞きたいポイントを単純に列挙したものです。

既述の通り、今まである程度メモにまとめていたものの、実際は面談や面接で回答する時に話していたものを、明確にテキストに起こして、整理することで、より精度高く、これらの情報をまとめることができました。

  1. その他ブログやGitHubのリポジトリの公開

これは特別なことではないですし、正確には今回からではないですが、ブログに普段の気づきや技術的な内容をまとめたり、個人開発などで書いたコードをPublicリポジトリとして公開しています。

今回の転職では面談や面接の際に、事前にこれらを共有した状態で実施していました。

実際に面談・面接などしてどうだったか?

今回このような工夫をして臨んだわけですが、その結果としてはかなりスムーズに面談や面接を進めることができ、より相互のすり合わせをしやすかったと感じました。

職務経歴書の情報や経験、スキルはもちろん、私の考える転職時の条件や希望もあらかじめ共有されているので、わざわざそれらのことについて質問する必要がなく、それらを掘り下げるか、他のことを質問することができます。
またこちらからの聞きたいことも質問事項としてまとめているので、質問する時間では機械的にリストの上から質問することで、基本的なことは確認することができました。
そして効率的に基本的な質問をしたことで、その後さらに企業側への追加の質問で、より深い質問をする時間を確保しやすく、内定を決めるときなどの判断にする材料をより集めやすかったと思います。

面接や面談した方もだいたいこのように情報をまとめたことについて、面談や面接を進めやすかったなどのポジティブな意見をもらうことができました。

また今回はなかったですが、このような形式での情報提出を受け入れないような企業があった場合は、そもそも考えとして合わない可能性が高いため、こちらから辞退しようと思っていたので、そのような判断基準としても利用しようとしていました。

まとめ

これまでは私が今回の転職の際に、工夫・意識したことについてまとめてみました。
やり方については私なりの方法なので、合う合わないがあるとは思います。
しかしせっかく面談や面接を行うなら、より効率的に、かつ充実した時間にした方がよいのは間違いないです。
そのためにもスムーズに面接や面談が進められる方法を自分なりに探索することで、よりより結果に繋がりやすくなります。

今回私が紹介した方法でもよいですし、もちろん作成・公開するツールはGitではなく、スプレッドシートやNotionなどでもよいでしょう。
まずは小さくても、何かしらアクションを起こすのが大事です。
今回紹介した方法が少しでもあなたの参考になり、そしてあなたが将来よりよい企業や仕事に巡り合うことの助けになれば幸いです。

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